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『松づくし』の色々

歌川国芳の作品に『桜三筋末廣の松』という作品がありまして、その作品には『松づくし』を踊る幇間「桜川三考」の姿が描かれています。
歌詞と共に、振りが一つずつ描かれている、という感じでしょうか。
計四本の扇を用いて、歌詞に合わせた様々な松の姿を踊っています。
画像はskywalkerさんのブログの記事「没後150年歌川国芳展200 桜三筋末広の松」にありました。

さて、この『松づくし』。この絵が描かれた当時と全く同じ歌詞で、現代にも曲が残っています。
端唄、地歌、筝曲、郷土芸能、寄席、色々な所に受け継がれています。

個人的に面白い!と思う点。
それは、受け継がれている場所、それぞれで微妙に違うと言うことです。

まず、端唄の『松づくし』。

かなりサラッと歌い上げていますね。
サラッと歌い上げているので、旋律もわかりやすいと思います。

次に地歌の『松づくし』。

かなりテンポがゆっくりになっています。
それから、端唄と比べると旋律が微妙に異なりますよね。
良く聴いていると京ことばのアクセントに近い旋律になっているのが分かると思います。

続いては青森県南部町の『松づくし』

歌詞はやはり同じで、旋律は端唄の『松づくし』に非常に近いのですが、三味線の弾き方、唄い方は民謡のものですね。
こぶしの効かせ方なんかすごく好きです。

最後に伊予万歳の『松づくし』。

これは旋律を聴き取るのが難しいですね。
良く聴いていると端唄の『松づくし』と似ているのですが、唄がとっても伸びているので、とても分かりにくくなっています。
三味線がロックンロールみたいですよね。

この他に、筝曲にもあるのですが筝曲の場合は、かなりゆっくり歌い上げるようになっています。
こちらの旋律は端唄とほぼ同じですね。

全て同じ『松づくし』です。
きっと、大元になる『松づくし』があって、それが各地の言葉や、各地の芸能の傾向に合わせて、どんどん姿形を変えて、現代まで受け継がれているのでしょうね。
こうやって突き合わせてみると、中々興味深いですよね。

世をはかなんでばかり

 『純邦楽詞章集』のデータ作成のため、著作権が切れた古い本からひたすら歌詞を拾ってデータ化をしています。
 今日は『徳川文芸類聚』巻九、俗曲上のうち、清元の詞章集『柏葉集』の入力が終わりました。
 アプリには反映させて、近々更新します。
 Wikiは、移動させたいと思っているため、今しばらくお待ちください。

 ところで、これは清元のみならず、語物に多いのですが、とにもかくにも道行物、心中物の多い事。
 何かと言えば「もう生きてはいられぬ」みたいな世界なんですよね。
 男は男で「お前まで死ぬ必要なんて無いんだ。さ、お帰り。」とか言っちゃって、女は女で「やだ、誓い合った仲じゃないの。一緒に死にましょ。」とか言っちゃって。
 時代も時代だし、歌舞伎の世界では心中物が流行っていた訳ですからね、仕方ないっちゃ仕方ないんですが、入力してると湿っぽいんですよ、これがまた。
 これからまた常磐津だの何だのとやる訳ですが、湿っぽいんでしょうね、きっと(笑)。

2016/06/03記